どくとる・めも

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【英語】文頭のthat【文法】

はじめに

今回は小ネタ。

掲題の件、すなわち文頭のthatについて恥ずかしながら存在を知らなかったので、備忘録として書くことに。

いきなりだが、次の英文の和訳を考える。

That Beethoven, who was so passionately fond of music, should cease to hear music seemed too cruel to be true.
(出典: 文頭がthatで始まる節の攻略法とは?解釈パターンはたった1種類しかないってマジですか!? | 知らないと損をする英文リーディングの話)


生半可な英語力だと、中々解釈に苦労する一文ではないだろうか。fond of musicまではいいが、その後should cease toが来て「ここが述語動詞か?」と思いきや、その後続けざまにseemed too cruel...と来て、もはや文の主語がどこなのかわからなくなってしまう。この文は一体どう読むべきなのか?

文頭のthatの訳出

結論から言うとこの文の述語動詞はseemedなのだが、その解釈に行きつくには、文頭のThatをきちんと理解する必要がある。この文においては、That~musicまでの部分はthat節なのだ。

以下のような文章はthat節の極めて基本的な用法であり、特に解説はいらないだろう。

  • I heard that he is famous.
  • I'm glad that you've completed the work.

しかしながら我々が慣れ親しんだthat節は、上の例のように文中に現れるのに対して、冒頭で示した例文では、that節は文頭にいきなり現れる。とはいえ、出現する箇所が違うだけで、特別な解釈が必要なわけではない。「〜ということ」「〜すること」などの訳出が適切であろう。

改めて例文を見てみよう。

That Beethoven, who was so passionately fond of music, should cease to hear music seemed too cruel to be true.

that節の中の主語、動詞、動詞の目的語は何かと考えてみる。主語はBeethovenであり、それがwho以下の内容で修飾されている。"Beethoven, who was so passionately fond of music"で「熱烈に音楽を愛好していたベートーベン」といったどころだろうか。

それに続く動詞が"should cease to hear music"であり、that節の中だけ取り出してみると”Beethoven, who was so passionately fond of music, should cease to hear music”となり、すなわち「熱烈に音楽を愛好していたベートーベンが音楽を聴けなくなる」である。

これがthat節の中に入っているから、文全体の主語は「熱烈に音楽を愛好していたベートーベンが音楽を聴けなくなること」、もう少し自然な日本語にするなら「熱烈に音楽を愛好していたベートーベンが音楽を聴けなくなるとは」、などと訳せるだろう。

さて、あとはなにも難しいことは残っていない。結局、全体訳としては、「熱烈に音楽を愛好していたベートーベンが音楽を聴けなくなるとは、残酷すぎて本当だとは思われなかった」となる。

余談

ところで、例文中にpassionatelyという単語が出てきたが、ベートーベンのピアノソナタ第23番は”熱情(Appassionata)”と題されている。これはベートーベンの三大ピアノソナタの一角を占めており、他2つの「月光」「悲愴」と比べると一般的な認知度はいささか低い印象があるのだが、まさに「熱情」の名にふさわしいとてもエネルギッシュな構成となっているので、ぜひとも一度聴いていただきたい。


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いやあ、ピアノっていいですよね。あらゆるジャンルで使えるし、音域も広いし、まさに万能の楽器という印象。クラシックにそこまで精通しているわけではないのだが、チャイコとかグリーグとかのピアノ協奏曲も好き。

最後はどうでもいい話になってしまった。それではまた。