どくとる・めも

化学、数学、プログラミング、英語などに関する諸々

【漢検準一級】読み 3【難読漢字】

前々回(【漢検】読み 1【準一級】 - どくとる・めも)および前回(【漢検】読み 2【準一級】 - どくとる・めも)に続き、久しぶりに漢検シリーズ。

趨向

1. 政局の趨向を占う。

趨向(すうこう)は物事の成り行きがある方向に向かうこと。また、その成り行き。

「趨勢」などを知っていれば難しい単語ではないのだが、パッと見で「趣向」と間違えないようにしたい。

蓑笠

2. 蓑笠の翁に道を尋ねた。

蓑笠(さりゅう)は、読んで字のごとく「みのとかさ」である。訓読では「みのかさ」となるが、漢検においては音読みと訓読みのどちらで読むかを指定される(らしい)ため、状況に応じて判断する必要がある。

補綴

3. 補綴して完全を期する。

補綴(ほてい(「ほてつ」とも))は破れなどを繕いつづること。転じて手を加えて不足などを補って改善すること。

現代においては歯科の分野においてよく使われるようで、歯の欠損を義歯や金属冠などで補うことを意味する。

暴戻

4. 暴戻な略奪が横行する。

暴戻ぼうれい)は、荒々しく道理に反する行いをすること。また、そのさま。

蟹行鳥跡

5. 既に蟹行鳥跡に倦みたり。

蟹行鳥跡(かいこうちょうせき)は、西洋の書物と漢文の書物のこと。

しかし、蟹と鳥が書物とどう関係するのか? 蟹は横方向に移動することから、「蟹行」は左から右へ読む西洋の書物に例えられる。一方、「鳥跡」は、鳥の足跡を見て文字を作ったという故事に由来し、漢字のことを指す。

允許

6. ややあって師の允許を得た。

允許(いんきょ)は、許すこと。許可。「允」は、単体で認めて許すことを意味する。

鍾愛

7. 父親は末娘を一方ならず鍾愛した。

鍾愛(しょうあい)は、たいそう好きこのむこと。大切にしてかわいがること。

ところで「一方ならず」は「ひとかたならず」と読み、一通りではないこと、並外れていることを指す。

稗史

8. 郷土の稗史を卒読する。

稗史はいし)は、正史に対して民間の歴史書を指し、転じて作り物語や小説を指す。

「卒読」は、「読了」の同義語。

一揖

9. 一揖して歩み去った。

一揖(いちゆう)は、「一礼」とほぼ同義で、軽くお辞儀をすること。「揖」は、両手を胸の前で組み合わせて行う敬礼の意。

堰堤

10. 砂防用の堰堤を設ける。

堰堤(えんてい)は、ダムよりも規模の小さい堤防のこと。土木関係の分野の人は、余裕で読めるかも。

柴扉

11. 柴扉暁に出ずれば霜雪の如し。

柴扉(さいひ)は、しばで作った扉。しばの戸。また、わびしい住居。ちなみに「柴」は雑木の小枝を意味する。

ちなみにこの例文は、広瀬淡窓が読んだ漢詩の一節(示塾生 - 日本の漢詩 - 漢詩・詩歌・吟詠紹介 - [学ぶ] - 関西吟詩文化協会)となっている。

今回はひとまずこれくらいで。