【有機化学】Aldol反応、Aldol縮合
はじめに
今回はAldol反応、Aldol縮合を勉強する。
この反応も、他2つの同様にカルボニルが中心的な役割を果たしており、炭素-炭素結合を新たに生成させる反応として有用である。
後述するが、Aldol反応の生成物が脱水する反応がAldol縮合であるため、まずはAldol反応の概要と反応機構を俯瞰する。
反応の概要
例として、アセトアルデヒドどうしのAldol反応では、以下のような生成物が得られる(実はこの生成物の名前が「アルドール」だったりする)。
それでは、このアルドール生成に至る反応機構を考えよう。
Aldol反応の反応機構
Aldol反応は、α水素を有するアルデヒドおよびケトンに一般的な反応である。逆に、α水素を持たなければこの反応は起こらない。
Michael付加反応(【有機化学】Michael付加反応【人名反応】 - どくとる・めも)の時と同様に、やはりこの反応も塩基によるα水素の引き抜きから始まる。
ちなみに、α水素の引き抜きによって生成するアニオンはエノラートイオンと呼ばれる。
生成したエノラートイオンが他方のカルボニル炭素を攻撃し、生成するアルコキシドイオン中間体にプロトンが付加すると、アルドールが得られる。
Aldol縮合
つい今しがた生成したばかりのヒドロキシ基だが、これがα水素とともに脱離して、脱水する。
Aldol反応は塩基触媒反応だが、Aldol縮合は塩基触媒および酸触媒の両方で反応が進行する。
それぞれ反応機構は異なるが、得られる生成物は同一となる。
まず、塩基触媒はα水素を引き抜いてエノラートイオンを生成し、これがヒドロキシ基を追い出すことで脱水が起こる。
一方、酸触媒はヒドロキシ基をプロトン化する。プロトン化されたヒドロキシ基は脱離基H2Oとして追い出される。
Aldol縮合はAldol反応と比較すると、要求される活性化エネルギーが高く、加熱等の処理が要求される。反応条件によっては出発物質から直接α-β不飽和エノンが得られ、中間体のβ-ヒドロキシカルボニルは単離されないこともある。
分子内Aldol反応
分子内にカルボニル基が二か所以上存在すれば、分子内でもAldol反応は起こり得る。例えばヘキサン-2,5-ジオンの分子内Aldol反応は、次のような五員環生成物を与える。
交差Aldol反応
ところで、冒頭でAldol反応とは同種のアルデヒドまたはケトンどうしの反応であると断言してしまったのだが、これまでの議論からわかるように、α水素を有するカルボニル化合物どうしであれば異種化合物間であっても反応は進行する。
そのようなAldol反応は、交差Aldol反応と呼ばれる。しかしながら異なる化合物を用いると、同種化合物間で反応が起こる場合、異種化合物間で反応が起こる場合などさまざまな組み合わせが可能となってしまうので、生成物も雑多になる。
今回は交差Aldol反応については掘り下げないが、そういった場合には、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)などの強塩基溶液中に一方のカルボニル化合物を添加してエノラート化させたところに、もう一方のカルボニルを添加して反応を起こす、など生成物の選択性を高めるための工夫が必要になる。
おわりに
以上、Aldol反応およびAldol縮合の簡単なまとめでした。
ChemBioDrawを使ったりMarvin Sketchを使ったりして構造式を書いたので、統一性が無くてすみません。